「クラウド」という言葉を日ごろより耳にするようになりましたが、「クラウドって何?」と聞かれて明確に答えられる人は限られるのではないでしょうか。
クラウドの定義はとても曖昧です。「モバイル」と並んでこの10年で私たちの生活を劇的に変えたものが「クラウド」。
この2つのトレンドは、日々の生活から時間や場所の制約をとりはらい、そのおかげで私たちはいつでもどこでも必要な情報が得られるようになったのです。
「クラウド」の定義と【クラウド真の価値】についてご紹介します。

目次
クラウドとは
クラウドとは、一言でいうと「ユーザーがサーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラやソフトウェアを持たなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用する考え方」のことです。
クラウドは、クラウド・コンピューティングと呼ばれることもあります。
クラウドの利便性

- 「ハードウェアを購入したり、ソフトウェアをインストールしなくても利用できるサービス」が、クラウドサービス
- インターネット(雲)の向こう側のサービスを利用していることから、クラウド(cloud=雲)と呼ばれる
- この他にもcrowd(クラウド)と書いて、集約したシステムという意味でクラウドと呼ぶ
- パソコンにソフトウェアをインストールしていなくても、クラウドサービスのアカウントさえ持っていれば、Google ChromeやInternet Explorer(IE)などのブラウザを通してメールを利用できる
- これまで機材の購入やシステムの構築、管理などにかかるとされていたさまざまな手間や時間の削減をはじめとして、業務の効率化やコストダウンを図れるというメリットがある


クラウドの基礎知識

情報システムの3階層とクラウドとの関係
- 情報システムは、「インフラストラクチャ―(インフラ)」が土台にあり、その上に「プラットフォーム」が乗り、さらにその上で「アプリケーション」が動くという3層構造になっている
- 最も上位にあるアプリケーションは、特定の用途を実行するために作られたシステム
- アプリケーションを動かすには、データを管理する仕組みや通信、セキュリティを管理する仕組みなどが必要になる
- こうしたデータベースや通信機能、セキュリティの機能は、あるアプリケーションのためだけに「専用に作り込む」必要はなく、異なるアプリケーションでも共通に使える
- この共通に使える機能を備えたソフトウェアを総称して、「プラットフォーム」と呼ぶ
- WindowsやAndroid、iOS、Linuxなどのオペレーティングシステムは代表的なプラットフォームである
- アプリケーションとプラットフォームはソフトウェアだが、これらのソフトウェアを動かすためには「土台」となるハードウェアが必要
- そして、ハードウェアを動かすには、電力なども必要だ。ハードウェアや電力など、付帯する設備、建物までを総称して「インフラ」という
- 「アプリケーション、プラットフォーム、インフラという情報システムの各層をネットワーク経由でサービスとして提供するのがクラウドコンピューティング」


クラウドの種類

- 通常、エンジニアはサーバー(インフラ)上で開発環境を作り、Webサービス(ソフトウェア)を開発し、提供しています。サーバー(インフラ)や開発環境・ソフトウェアとそれぞれのクラウドには名称があります
- SaaS(Software as a Service) ソフトウェアを提供するクラウドサービス
- PaaS(Platform as a Service) 開発環境を提供するクラウドサービス
- IaaS (Infrastructure as a Service) サーバー(インフラ)を提供するクラウドサービス
なぜクラウドは生まれたのか
- コンピューターの歴史は、メインフレーム時代(1950~)、クライアント/サーバー時代(1990~)、Webコンピューティング時代(2000~)、クラウド・コンピューティング時代(2010年頃〜)と4分類できる
- 1990年代後半には、Webコンピューティング時代と呼ばれる時代が始まります。この時代では、コンピューターの価格はさらに安くなり、導入のハードルはどんどん低くなった
- 今まで課題となっていたネットワークも、価格が下がっただけではなく、速度も改善されていきました。その結果、コンピューターの利用台数が膨大となり、コンピューター内にアプリケーションやデータを全て配布することが困難となった
- この問題はWebブラウザによって解消されます。Webブラウザを通じてアプリケーションやデータを持つコンピューター(サーバー)へアクセスすることで、全てのコンピューターにアプリケーションやデータを配布しなくても良くなった
- サービスがどんどん増えていったことで、多くのサーバーが乱立する事態となり、今度はサーバーをいかに管理・統合していくかが課題となつた
- この課題の解決に必要となった手法が、「クラウド・コンピューティング」です
- クラウド・コンピューティングは、1台の物理サーバーに複数台のサーバーを仮想的に立てることができるハイパーバイザー(仮想化技術)により実現したもの
- このようなサーバーは「仮想サーバー」と呼ばれ、物理サーバーに近い環境が仮想的に作られています。この仮想サーバーの登場により、スペースは今までと変わらない物理サーバー1台分のスペースで複数の仮想サーバーを運用することができるようになった
- データーセンターの集約にもつながることから、クラウド・コンピューティングは、サーバーの統合にふさわしいとされています


クラウドサービスのメリット・デメリット

ネットワークを介することで、いつでも・どこでも利用できるクラウドサービスには多くのメリットはもちろんのこと、デメリットもあります
クラウドサービスのメリット
クラウドサービスは、ハードウェア(サーバーやアプリケーション)を「所有する」のではなく「利用する」イメージです。従って、サーバを導入する際の初期費用を考える必要がなくなります。また、保守費用や運用費用を考える必要もなくなるため、コストの削減にもつながります
ハードウェアの運用管理や監視をサービスの提供者が行います。また、データバックアップや性能のアップグレードもサービスの提供者によってサービスの一環として実行されます。そのため、これまでは各社のIT分門が行っていたこれらの作業が、必要無くなります
月額費用やサービスごとの従量課金制を採っているところが非常に多い。そのため、使用していない間は費用が発生しないというメリットや、目的に応じて必要なサービスだけを契約することで運用コストを必要最低限に抑えることができます
また、追加でサービスが必要になった際にも比較的簡単に数種類のサービスの利用が開始できるのもクラウドサービスのメリットの一つとです
クラウドサービスのデメリット
何らかの事情で利用中のクラウドサービスが中止になってしまったり、あるいは、ネットワーク障害などでサービスの継続が難しくなる場合も全くないとは限りません。場合によってはデータの紛失にもつながります
クラウドというネットワークを介してデータやアプリケーションを利用するので、インターネットに接続できる環境でないと利用することができない
自社開発のシステムと違い、クラウドサービスは他社のサービスを利用する形です。従って、自社の目的に応じて自由自在に仕様を変更することはできません
参考図書
クラウドの基礎知識から、代表的なサービスの種類、クラウドを支えるさまざま技術、クラウド導入の考え方、各クラウド事業者の特徴、業種別・目的別のクラウド導入例まで、これからクラウドにかかわる人が知っておきたい知識をこの一冊で丸ごと解説!
林雅之著 国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)
1995年NTT(日本電信電話株式会社)入社。地方で中小企業の営業を担当後、マレーシアにて営業および国際イベントの企画・運営に従事。NTT再編後のNTTコミュニケーションズでは、事業計画や外資系企業の営業、市場開発などを担当。
クラウド・まとめ
クラウドとはなに?というテーマでご紹介いたしました。イメージはわかるのだが、なかなか説明しずらいテーマでした。簡単に一言でいえば「ハードウェアを購入したり、ソフトウェアをインストールしなくても利用できるサービス」
身近な使用例でみればGmail=Webメール
・Googleドライブ=オンラインストレージ
・Googleフォト=写真用オンラインストレージ
・Googleカレンダー=スケジュール管理など Google のクラウドサービスは多くの人が使用しています。クラウドサービスのメリットは感じて見えるとおもいますが、デメリットも頭において、ご活用下さい。