仕事で着替えるとき、その時間はどう扱われていますか?労働時間に含まれていると思っていたら、実はそうではない場合もあります。また、労働時間に含まれていないと思っていたら、実はそうだった場合もあります。着替え時間が労働時間になるかどうかは、一概には言えません。それは、着替えが業務上必要であるかどうかや、着替えに関する指揮命令があるかどうかなど、さまざまな要素によって決まります。この記事では、着替え時間が労働時間になる条件を分かりやすく説明し、その判断基準となった判例を紹介します。あなたの権利を確保するためにも、ぜひチェックしてください。
着替え時間とは何か?労働基準法で定義されている着替え時間の意味と種類
労働者が業務に取り組むために服装や装備を整える時間を指すのが「着替え時間」です。具体的には、作業着や保護具の着用、作業に適した靴の着用などが含まれます。労働基準法では、労働時間には労働者が雇用主からの指揮命令に従って行う活動が含まれますが、その中でも着替え時間の扱いは事例によって異なります。
着替え時間が労働時間になる3つの条件。判断基準となる要素とは?
業務上必要であること
労働者が業務を遂行する上で着用する服装や装備が、業務の遂行に必要不可欠な場合、着替え時間は労働時間に含まれることがあります。
指揮命令の下にあること
着替え時間が使用人からの指揮命令に基づいて行われる場合、労働時間に含まれる可能性があります。指揮命令に従って行われる行為は、労働時間に含まれる法的な根拠があります。
一定の場所・時間に制限されること
着替え時間が特定の場所や時間に制限され、労働者に自由裁量が与えられない場合、その時間は労働時間に含まれることがあります。労働者の自由な行動が制約されることが判断基準です。
着替え時間が労働時間になった3つの判例。裁判所がどのように判断したか?
どれも「業務上必要」「指揮命令」「一定の場所・時間」などの条件を満たしていることがポイントです
食品工場での白衣着用の場合
食品工場で働く従業員が、出勤時と退勤時に白衣に着替える時間が労働時間に含まれると主張したものです。裁判所は、白衣着用は業務上必要であり、会社の指揮命令下にあると判断しました。また、着替える場所や時間に制限があったことも考慮しました。そのため、着替え時間は労働時間に該当すると認めました。
警備員での制服着用の場合
警備員が、出勤時と退勤時に制服に着替える時間が労働時間に含まれると主張したものです。裁判所は、制服着用は業務上必要であり、会社の指揮命令下にあると判断しました。また、着替える場所や時間に制限があったことも考慮しました。そのため、着替え時間は労働時間に該当すると認めました。
医療機関での防護服着用の場合
医療機関で働く従業員が、出勤時と退勤時に防護服に着替える時間が労働時間に含まれると主張したものです。裁判所は、防護服着用は業務上必要であり、会社の指揮命令下にあると判断しました。また、着替える場所や時間に制限があったことも考慮しました。そのため、着替え時間は労働時間に該当すると認めました。
着替え時間が労働時間にならない3つの方法。自分の権利を守るためにできること
事前に労使協定を結ぶこと
着替え時間の扱いを事前に労働者と雇用主が協議し、労使協定を締結することで、着替え時間を労働時間外として認めることができます。双方の同意により、合理的な取り決めを行うことが大切です。
自宅で着替えること
労働者が自宅で着替える場合、通勤時間とは別に計算されることがあります。自宅から職場への移動時間内に着替えを行う場合には、労働時間に含まれないことがあります。
着替え時間を短縮すること
効率的な方法を見つけて着替え時間を短縮することで、労働時間外とみなされることがあります。例えば、事前に必要な準備を整えておくことや、着替えにかかる時間を最小限に抑える方法を採用することで、労働時間外の時間を確保することができます。
まとめ
この記事では、着替え時間が労働時間になる条件と、その判断基準として参考になる判例を紹介しました。着替え時間が労働時間になるかどうかは、一概には言えません。それは、着替えが業務上必要であるかどうかや、着替えに関する指揮命令があるかどうかなど、さまざまな要素によって決まります。裁判所でも様々なケースがあり、食品工場や警備員、医療機関などの場合には、着替え時間が労働時間に認められた例があります。しかし、着替え時間が労働時間にならない方法もあります。事前に労使協定を結んだり、自宅で着替えたり、着替え時間を短縮したりすることで、自分の権利を確保することができます。着替え時間は見過ごせない問題です。自分の状況を把握し、適切な対応を取るようにしましょう。
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