名古屋城は、三大名城の一つに数えられる歴史的価値が高く、観光資源としても人気の城郭である。16世紀後半から17世紀初めにかけて、織田信長が住み、徳川家康によって築城され、江戸時代には尾張徳川家の居城となった。現在でも白と金のコントラストが美しい天守閣を中心に、様々な文化財建造物が保存されている。四季折々の花々も楽しめる景観とともに、年間300万人以上の観光客が訪れる名古屋を代表する観光地となっている。
名古屋城の概要
名古屋城案内図
構造と文化財指定
名古屋城は天守閣を中心に、西の丸御殿、東の丸御殿、二の丸御殿が配置されている。特に西の丸御殿は国の重要文化財に指定されている。建物は桃山様式を基調とした様式美に富んでいるのが特徴だ。
名古屋城の建造物のうち、本丸御殿、西の丸御殿、二の丸御殿、天守閣が国の重要文化財に、塀、石垣、櫓が国の重要文化財として選定されている。また城跡一帯が国の特別史跡に指定されている。
歴史的沿革(徳川家ゆかりの地)
関ヶ原の戦いで徳川家康が天下人の座を手にすると、名古屋城下は三代将軍家光をはじめ歴代の当主が生まれた徳川氏ゆかりの地となった。このことが、城の政治的重要性を一層高めることになった。
本丸御殿
名古屋城の中核を成すのが本丸御殿である。本丸御殿は武家造りの場所打ち煉瓦造の2階建てで、1階が御殿、2階が書院造りの大広間からなる。武家風の形式を残しつつも、内部は欄間や天井画などを配した豪華な作りとなっているのが特徴だ。本丸御殿も国の重要文化財に指定されている。
新築時と戦後復元 構造と内装の特徴
新築時構造の特徴
新築当時の本丸御殿は2階建ての格式高い構造で、天守台最高所に位置する城の正殿としての格式を示すものでした。
本丸御殿は1620年(元和6年)、徳川家康の命により尾張藩主徳川義直によって新築されました。御殿は2階建てで、1階に書院、2階に大広間を設ける形式で、これは後に名古屋城の標準的な構造となりました。
1階の書院は、6間x6間の方1間で、欅の心柱と杉の梁を使用し、壁は白漆喰で仕上げられました。
2階の大広間は、杉の心檁葺きの瓦葺き屋根で、正面の間口が9間、奥行きが6間の規模です。広間内部は欄間に床脇、違棚を配し、天井は龍虎呂吹上げの画とされました。
終戦後に復元された名古屋城本丸御殿
戦後復元の本丸御殿は、外観・内部ともできる限り焼失前の姿を再現することを目指して造られました。必要な現代設備も取り入れた復元となっています。
- 1959年から復元工事が開始され、1963年に完成。鉄筋コンクリート造の2階建て。
- 1階計約240平方メートル。書院、渡り廊下、床の間などを復元。
- 2階は面積約300平方メートル。欄間、天井画などを模した復元となっている。
- 復元にあたっては、焼失前の実測図や古写真を参考にした。屋根は銅板葺。
- 内部は当時の様式を再現しつつ、エレベーター、映写設備なども導入。
- 米国のフォード財団からの寄付も活用し、約2億5千万円の工費を投じて復元された。
名古屋城本丸御殿の内装やふすま絵、建築構造に関する仕様
内装から建築構造に至る細部まで、格式と装飾性を強く意識した作りとなっています。復元にあたっては細心の注意が払われました。
- 内装は欅材の欄間、違棚を配し、黒漆塗りの襖を使用。
- ふすま絵は立竹梅の図様が描かれ、金箔がふんだんに用いられている。
- 建築は桁行6間、梁間6間の方1間の構造。柱は欅材の丸柱。
- 屋根は本瓦葺で、正面に千鳥破風を配する。
- 2階大広間の天井は、一間四方に龍虎呂吹上げの画を描いている。
- 床の間塗りの欅材の腰板は、高さ121cm、幅273cmと器量が大きい。
- 書院の縁側には、欅材の菱垣状の手すりが設けられている。
- 建具はすべて欅材飾り金具を使用し、格式高く仕上げられている。
二の丸庭園
- 二の丸庭園は、本丸の南に位置する二の丸に造られた回遊式庭園。
- 1620年代に尾張藩2代藩主徳川義直によって築かれた。
- 庭園様式は枯山水と茶室を配した千利休式の構成。
- 面積約1.8ヘクタール、泉水を引いた池を配し、見応えのある石組が特徴。
- 庭園内には、書院、御殿、茶室などが適宜配されている。
- 江戸時代には藩主の休憩や接待の場として利用された。
- 空襲で庭園は疎開を免れず荒廃したが、戦後復旧され現在に至る。
このように、二の丸庭園は規模、様式ともに優れた江戸時代築の回遊式庭園です。名古屋城の敷地内に現存する貴重な空間と言えます。
名古屋城の見どころ
- 1つ目は天守閣です。白と金のコントラストが美しい天守閣は名古屋城のシンボル的建造物で、須鉄(すてつ)と呼ばれる景観も見どころの一つです。
- 2つ目は本丸御殿です。桃山時代の様式美を色濃く残す国宝級の建物で、欅材の格天井や様々な装飾が見応えがあります。
- 3つ目は西の丸御殿です。茶室を有する優美な御殿造りで、特に書院の襖絵は見事な景色画が描かれています。
. 名古屋城と桜・藤
桜と藤の名所としても知られる名古屋城ですので、それぞれの時季を見計らって訪れるのがオススメです。
桜の見ごろ
- 桜の見ごろは例年4月上旬頃。
- 本丸御殿前の八重桜は名古屋城の代表的な桜の名所。
- 西の丸や二の丸にも桜並木があり、散策しながら楽しめる。
藤の見ごろ
- 藤の見ごろは例年5月中旬から下旬。
- 本丸石垣や櫓の白壁とのコントラストが美しい。
- 二の丸御殿の藤棚は穴吹藤で有名。
名古屋城と観光
年間入場者数と観光資源
名古屋城は年間約300万人が来場する人気の観光スポットである。2017年の天守閣展望台オープン以降、入場者数は右肩上がりに推移している。形成された城下町の面影を残す周辺の観光資源とともに、名古屋観光の中心的存在となっている。
観光スポットとしての人気
天守台への立派な階段、青龍偃月刀状の櫓、天守閣からの眺望など、名古屋城には観光客を魅了する要素が多い。また、桜や紅葉の名所としても知られ、四季を通じて人気の観光地となっている。冬季にはライトアップも実施される。
名古屋城へのアクセス
公共交通機関をご利用の場合
地下鉄
- 名城線 「名古屋城」 下車 7番出口より徒歩 5分
市バス
- 栄13号系統(栄~安井町西) 「名古屋城正門前」
- なごや観光ルートバス「メーグル」
なごや観光ルートバス「メーグル」の案内 - 基幹2号系統 「市役所」 下車 徒歩5分
名古屋城まとめ
名古屋城は、三大名城の一つに数えられる歴史と観光価値を兼ね備えた城郭である。16世紀後半から17世紀初めにかけて、織田信長が住み、徳川家康によって築城され、江戸時代には尾張徳川家の居城となった。
白と金のコントラストが美しい天守閣を始め、 桃山時代の形式美を色濃く残す本丸御殿、書院造りの西の丸御殿など、見どころの建造物が多い。また、二の丸には茶室を配した落ち着いた雰囲気の日本庭園も存在する。
四季折々の花々も楽しめ、桜や藤の時期には多くの観光客でにぎわう。現在でも年間300万人以上が訪れる名古屋を代表する観光地である一方、天守閣のコンクリート劣化など文化財としての保存課題にも直面している。歴史と自然、観光が調和した城郭といえるだろう。
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