シニアの健康 今後健康でいられる期間は「健康寿命」でなく「健康余命」で考える 

スポンサーリンク
シニアライフ

わが国は世界有数の長生き国で平均寿命は今でも延びている。2019 年の平均寿命は、男性81.4歳、女性87.5歳と、過去最高を更新した。しかし、“健康”で長生きすることが多くの人の願いであり、最近では、「健康寿命」への関心の方が強い

現在、一般的に使われている「健康寿命」は国の定義によるもので、0歳児が今後、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を示している

ただし、「健康寿命」が気になりだすのは、中高年以上であることから、0歳の「健康寿命」では実感がつかみにくいと思われる

当ブログはシニアライフに焦点を合わせ、65歳時点の「健康余命」を中心に5歳刻みで「健康余命」をとらえ「平均余命」との差である『不健康の期間』を検証する

『不健康の期間』=『介護を必要とする期間』ではなく、『介護を必要とする期間』は最後の数年に限定される

実態を正確に知ることにより、『不健康な期間』について過剰な不安や拒絶感をもつのではなく、適切に健康増進に向けた生活を送ることが必要である

余命は寿命より長い

男性は寿命80.98歳・女性は寿命87.14歳しかし65歳時点の余命は男性19.55年(84.55歳)・女性24.38年(89.38歳)

2016年の平均寿命は、男性80.98歳/女性87.14歳だった。では、65歳の人が、今後、生きる平均的な期間は?というと、「平均寿命ー年齢(男性15.98年/女性22.14年)」ではない。65歳の人の平均余命は、男性19.55年/女性24.38年で、「平均寿命ー年」より2~3年長い

これは、平均寿命(=0歳児の余命)が65歳未満で亡くなる人の寿命を含んだ平均であるのに対し、65歳の平均余命は65歳まで生きた人のみで計算した平均だからだ

その結果、65歳の人は平均で男性84.55歳、女性89.38歳まで生きる計算になる

健康寿命は男性72.14歳・女性74.79歳しかし65歳時点の健康余命は男性14.09年(79.09歳)・女性16.15年(81.15歳)

2016年の健康寿命は、男性72.14/女性74.79年だった。65歳の人が、今後健康でいられる平均的な期間は?というと、やはり「健康寿命-年齢(男性7.14/女性9.79年)」ではない。

今後、健康でいられる平均的な期間を“健康余命”とすると、65歳の人の健康余命は男性14.09/女性16.15年であり、「健康寿命ー年齢」と比べて2倍近くもの差がある

これは、健康寿命(=0歳児の健康余命)が65歳未満の不健康な期間も差し引いて計算しているのに対し、65歳の健康余命は65歳以降の不健康な期間のみを差し引いているから

厚生労働省の「健康寿命」の定義によれば、“不健康”とは、「健康上の問題で日常生活に支障がある」状態を指す。若い時にも“不健康”な期間はあるし、いったん“不健康”になっても、また“健康”になることもある。

65歳時点の平均余命-健康余命=不健康期間

65歳の人は、平均すると、あと男性19.55/女性24.38年間生きて、そのうち合計で男性14.09/女性16.15年間は“健康”なのだ。余命から健康余命を引いて、65歳以降の“不健康な期間”を計算すると、平均で男性5.46/女性8.23となる。

シニアの生涯設計

シニアになれば、人生の生涯設計は、「寿命ー年齢」ではなく、「余命」で考える方が適当だろう。平均寿命を目安に老後の生活のための資産形成をするのでは不十分である可能性があるし、健康でいられる期間を見誤って悲観的になりすぎるはもったいない

65歳の健康余命は延伸。平均余命との差は横ばい

2001年以降の65歳時点の平均余命と健康余命の推移を見ると、いずれも延伸している

その差は、2010年以降、男女ともどちらかと言えば縮小しているが、調査年による差が大きく、大きな改善はない。近年、健康寿命の延伸を目的とする健康政策が実施されているが、その成果はまだはっきりとは見えていない

「不健康期間」とは、「介護を必要とする期間」ではない

「不健康期間」が、介護を必要とする期間であると解釈するのは間違っている

現在、一般的に使われている「健康寿命」は厚生労働省の基準によるもので、ここで 言う「健康」とは、「健康上の問題で日常生活に影響がない」ことを言う

「日常生活」とは、たとえば「日常生活の動作(起床、衣服着脱、食事、入浴など)」、「外出(時間や作業量などが制限される)」、「仕事、家事、学業(時間や作業量などが制限される)」、「運動(スポーツを含む)」等、幅広い

介護を必要とする平均期間

介護を必要とする平均期間として、公的介護保険制度の要介護2以上と認定されている期間を“要介護期間”として、“平均要介護期間”が計算される

厚生労働省「介護給付費実態調査」の結果を使って、2016年の“平均要介護期間(要介護2以上と認定されている期間)”を計算すると、65歳時点で、男性1.67/女性3.47年と計算される

シニアの健康 まとめ

シニアにとって、今後健康でいられる期間は「健康寿命」ではなく「健康余命」で考えると題してまとめました。一番重要なことは用語の正しい定義を知って、正しく活用することです。特に寿命と余命の違いを間違えると、今後の生活設計にも大きく影響が出ます。「不健康期間」=「要介護期間」ではないことを実感し、あまり悲観的になることもなさそうです。「健康余命」を延ばすことを意識し、健康管理に留意し、体力増強を目指しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました